「B型肝炎給付金」という言葉を見聞きしても、自分や家族が対象かどうかは判断しにくいものです。この記事では、制度の背景から対象者の整理、給付金額の目安、受給までの手続を、相談導線に合わせて分かりやすくまとめます。
目次
1. B型肝炎給付金とは
B型肝炎給付金は、過去の集団予防接種等の場面で、注射器の連続使用が行われたことなどにより、B型肝炎ウイルスに持続感染した方を救済する制度です。持続感染は、慢性肝炎・肝硬変・肝がんなどへ進行することがあり、治療や生活に長期的な影響が生じ得ます。
重要なのは、「感染していること」だけでは足りず、一定の時期・経路・状況に当てはまるかが実務上の判断ポイントになる点です(要件は後述します)。
2. 対象になり得る方
給付金の対象は、主に次の類型に整理されます。
2-1. 一次感染者(集団予防接種等が直接の原因)
- 集団予防接種等をきっかけに、B型肝炎ウイルスに持続感染した方
2-2. 二次感染者(一次感染者からの母子・父子感染)
- 一次感染者(親)から、母子感染または父子感染で持続感染した方
2-3. 三次感染者(二次感染者からの母子・父子感染)
- 二次感染者(親)から、母子感染または父子感染で持続感染した方
2-4. 遺族(相続人)
対象となる方が亡くなられている場合でも、要件を満たせば遺族(相続人)が請求できる枠組みがあります。
3. 対象かどうかの要件チェック
制度の要件は類型ごとに整理されています。ここでは、相談前に見通しを立てるためのチェック項目としてまとめます。
3-1. 一次感染者の主なチェック項目
- B型肝炎ウイルスに持続感染している
- 満7歳までに集団予防接種等を受けた可能性がある
- 当時、注射器の連続使用が行われた状況が想定される
- 母子感染ではない
- 集団予防接種等以外の感染原因が見当たりにくい
3-2. 二次感染者の主なチェック項目
- 親が一次感染者の要件を満たす可能性がある
- 本人も持続感染している
- 感染経路が母子感染または父子感染で説明できる
3-3. 三次感染者の主なチェック項目
- 祖母が一次感染者の要件を満たす可能性がある
- 親が二次感染者の要件を満たす可能性がある
- 本人も持続感染しており、感染経路が母子感染または父子感染で整理できる
※ここは自己判断で結論を出す場面ではありません。医療記録・検査結果・家族関係の整理で見通しが変わることがあります。
4. 給付金額の目安
給付金額は、病態(無症候性持続感染/慢性肝炎/肝硬変/肝がん/死亡)に応じて区分され、さらに「感染・発症から20年が経過しているかどうか」によっても変動します。
4-1. 金額レンジ(概要)
- 50万円〜3600万円の範囲で、病態等に応じて決まります。
4-2. 代表的な区分(見通し把握用)
- 無症候性持続感染:感染から20年未満 600万円/20年経過 50万円
- 慢性肝炎:発症から20年未満 1250万円/20年経過(治療状況等で300万円または150万円)
- 肝硬変(軽度):発症から20年未満 2500万円/20年経過(治療状況等で600万円または300万円)
- 肝硬変(重度):進展から20年未満 3600万円/20年経過 900万円
- 肝がん:発症から20年未満 3600万円/20年経過 900万円
- 死亡:死亡から20年未満 3600万円/20年経過 900万円
※金額の見込みは、診断の確定時期・治療状況・経過などを踏まえて精査する必要があります。
5. 受給までの流れ(訴訟→和解→請求)
受給には、制度特有の手続があります。大枠は次の流れです。
- 国を相手方とするB型肝炎訴訟を提起
- 要件を資料で示し、裁判上の和解へ
- 和解後、社会保険診療報酬支払基金へ給付金を請求
実務上の要点は、必要な資料収集と整理です。医療記録の確認や経過の組み立てが必要になり、想像以上に時間がかかることがあります。
6. 相談前に用意できると有利な情報(必須ではありません)
「全部揃ってから相談しよう」と考えるほど、着手が遅れがちです。まずは次のどれかが分かるだけでも前進します。
- B型肝炎の検査結果(HBs抗原など)や診断名が分かる資料
- 受診中の医療機関、通院歴
- 家族関係(親・祖父母にB型肝炎の指摘があったか)
- 母子手帳や予防接種歴(残っていれば有力)
7. よくある質問
Q1. 一次・二次・三次のどれか分かりません
分からない状態は珍しくありません。家族の検査状況や医療記録の有無で判断が変わるため、資料の当たりを付けながら整理します。
Q2. 症状がなくても対象になりますか
無症候性の持続感染にも区分があります。まずは「持続感染に当たるか」「感染経路が整理できるか」を確認します。
Q3. 亡くなった家族の件でも相談できますか
遺族(相続人)が請求できる枠組みがあります。早い段階で「誰が請求主体になるか」を整理することが重要です。
8. まとめ
B型肝炎給付金は、過去の集団予防接種等に由来する持続感染の被害について、国が救済する制度です。対象は一次感染者に限られず、母子・父子感染による二次・三次感染者、さらに遺族(相続人)にも及びます。給付金額は病態と経過年数等で幅があり、受給には訴訟提起から和解、支払基金への請求という流れが必要です。




